うわごと。

散文ばかりをまさに散らかしている。

『うつくしくきれいなわたしたちのくに』に寄せて。

随分経ちましたが、

カラスミカ企画

『うつくしくきれいなわたしたちのくに』

無事に幕を下ろしました。

 

また観たいから、なんてスケジュールを調整してリピートしてくださるお客様もいらっしゃったりして

25席×4の100席を、皆様にたくさん埋めていただけた事を何より有り難く思います。

 

女性同士の恋愛描写だって本当は特別な事でも何でもなくて、注意書きも必要なく普通にできる世の中になったらいいなぁって思っていました。

実際に受け取ってくださった皆様も、ただそのくにをうつくしく捉えていただいただけで、偏見も何もなく、真っ直ぐ見つめてくださる方ばかりで、世の中の不確かな風潮はもしかしたら誰しもがそうであると思い込んでいるだけで、殆どの人が良い意味で気にしてすらいないものなのかなぁなんて、嬉しく噛み締めていました。

 

アンケート代わりのお手紙も、SNSのご感想もイラストまで、作品への愛に溢れるものがたくさんで、独特の気持ちになった事はまだ記憶に新しいです。

熱烈な感想とか、感動のまま書かれる感想って少なからず、有難い事に見てきたんですけど、そういうのとは違ったというか。

なんていうか、作品とか、カラスミカ企画そのものとかを、お客様自身が凄く大切に愛してくださってるんだなぁって勝手に思ったんです。

違ったらごめんなさい。

そういう、深い愛情みたいなものをご感想からこんなにたくさん感じる機会ってなかなかなくて、それがすごく新鮮だったんですよね。

本当に、ありがとうございます。

 

今回の座組は少人数で。

大きな座組が続いていたので、これも久々で新鮮でした。

密度と一緒にゆとりのある距離感だなぁと思っていました。

実は僕自身はみんなに馴染むのに少し時間がかかったりして。

でも最終的にはみんなのほうから近付いて来てくれるようになって、なんか気が付けば馴染んだなぁって感じでした。

やっぱりこう、振る舞い方に気を遣いますね、女性ばかりの中に男が一人って。

今回の題材を取り扱っておいて、女性とか男性とか言ってもって思う部分もあるんですけど。

始めから、紅一点ならぬなどと言っていたんですけど、実はこれには理由があって。

 

あ、もしかしたらこれ以降は早速、野暮な事になるかもしれません。

だいぶ時間も経ちましたけど、観劇後の余韻や印象を守りたい方は読み飛ばしてくださいな。

 

僕自身がなんていうか、性別の自己認識が曖昧なままなんですよね。

これは別に、ジェンダーアイデンティティに悩む方々に比べれば本当にすごく小さな、些細な違和感でしかないと思うんですけど。

緑一点って言葉を使うのをつい躊躇ってしまって、そんな書き方をしたんです。

果たして男と堂々と名乗っていいものか、みたいな。

 

そんな自分が、俗に言う”【普通】の男性”の役を預かる事は、実は結構勇気が要りました。

いや別に、今までも、預かった役はどれも男性だし、まぁこう、普通っちゃ普通だったんですけど。

今回はなんていうか、改めてそれを意識して、理解した上でポジションを取る事が重要な役だなと感じて。

あんまり気にしないように、触れないように、そっとして置いてきた自分の中と向き合うのにはやっぱり、少しばかり不安はあって。

 

肩書もレッテルも自覚も真逆な彼を、どう理解していっていいものか、なんて思ってたんですけど、蓋を開けばやっぱり男性とか女性とかシスとかトランスとかあんまり関係なくて、人生ってそれぞれにそれぞれなんかあるもんなのねって結論と共に、安心したのを覚えています。

 

話は変わりますが、それとは別に表現に携わる立場としてこの物語に戦いと生みの苦しみを見た事はやっぱり触れておきたいです。

嘘と本当、フィクションとノンフィクション、理想と現実、この狭間を縫って、バランスを保って、そういう部分の事、稽古にも作品にもたくさん詰まっていたなって。

こういう側面と悩みはほんとにあるなって。

でも、それでも僕は、崇高なものにも、難しいものにもなってほしくないなって思ってます、創作ってものが。

その根底にある”伝えたい”だけで、成立していてほしいから。

 

あと、これは本当に個人的な事でしかないし、お客様にはなんの関係もない事かもしれませんけど。

ヒナタアコという、敬愛する劇作家、そして演出家の復活を、板の上で祝福できた事を、嬉しく思っています。

 

伝えなくてもいいです、なんにもわかんなくてもいいです、ただ、おかえりって、お客様にも思ってもらえたら嬉しいです。

 

最後に改めて。

 

一緒に向き合ったアコちゃん、杏奈ちゃん、せりかさん、穂南、わかな。

 

写真撮ってくださったMao,uさん

 

受付手伝ってくれた中野。

 

場所を与えてくださった兎亭と、斉藤さん。

 

客席で一緒に観て、受け取ってくださった皆様。

 

応援してくださった皆様。

 

関わってくださったすべての方々へ、本当にありがとうございました。

 

最後まで読んでくれてありがとう。

それじゃ、またね。

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