うわごと。

散文ばかりをまさに散らかしている。

Domix9 パラノイアに寄せて。

5/12の千秋楽、そして本日夜の荷降ろしを終えて、本当に無事に終わりました。

 

公演を作り上げていく上で、言葉にし難い様々な、本当に様々な苦労がありましたが

それもこれも過去となって、すべてはお客様の中だけのものとなりました。

 

一番最初にそれらを手放して役者に託し、役者の手を離れてお客様のもとへ。

公演って、それだけでも特別な機会だなと思います。

 

どんな思いも語ると野暮になりそうで、いつもこういう振り返りで余計な事を言うのが怖いですが、ふたつほど。

 

まず、素敵なチームでした。

互いへの尊敬に溢れ、役者やスタッフ、テクニカルチーム、演奏者さんに作曲者さんまで、別け隔てなく感謝し合って託し合っていて、その輪に演出家として加えてもらっていた事をありがたく感じています。

 

それから、当日パンフレット。

気付いてくださってる方もいたのですが、改めて。

「文章だって、読む方向を変えれば、また新しいものが見えてくると思うんです。(前説の一部)」

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皆さん、気付いていただけましたか?

 

 

さて、これ以降は野暮になりそうな話です。

書きたくて書くあれなので、興味のある方だけでも読んでいただければそれだけでいいです。

 

2つの違う作品を並べて上演するにあたって、狙っていたこと。

これはDomix X(クロス)という昨年末のイベントでDomix9の告知をした際にも「原点と進化として見せたい」とか言って、少しお話した事なのですが。

 

Vivo UNDEAD は、Domix1で上演した作品で、言わばDomix Liveの原点のような作品だと感じています。

宇宙を舞台にした物語でもあり、その空間の再現の複雑さを加味しても非常に動きをつけていくのが難しい作品でした。

初期のDomixは台本を持ったまま役者が演じていて、動画に、いわゆる朗読劇のようなスタイルのお芝居をそえて上演していました。

 

そこから台本を外して、朗読劇のスタイルをより磨き上げていく事で、ルーツとなった形をより良いものとしたひとつの到達点として作り上げていく狙いがありました。

その為、大きくて具体的な動きは少なめに、朗読劇の形をなるべく守っているつもりでした。

 

そしてZOMBIEMEN FLYは、そもそも音ありき、音楽や歌、そしてウジ子の音声ありきで描き上げられた原作で、言わばモーションコミックになる事で初めて完成するような想定で作られていました。

それを初めてLiveで上演するにあたって、朗読劇のスタイルに拘らず、ストレートプレイに近いレベルで大きく具体的な動きを作り込み、動画とどこまで相乗効果を生みながら、目の前で展開する形にするかが勝負どころでした。

理想としては、様々な形を経て1〜8まで続いたDomix Liveの上演スタイルの、ひとつの完成形を作れたらいいなと、そう思っていました。

その為にはどうしてもセンターを使った演技展開が必要だったんです。

しかしDomix Liveには動画があり、その前に役者が立つと動画が見えなかったのが嫌だったというご意見を過去にいただいた事は何度もありました。

8より前には真ん中に役者が踏み込まないよう極力対処されていたし、僕も3と6の際は同じようにいわゆる被りを気にしていたのですが、それでもそういうご意見は多く、今回スクリーンを高い位置に設置したのはその問題を解決する為でもありました。

 

そんなこんなで、原点と進化、その2つを同時に上演し、物語を楽しみながら、Domixのこれまでの軌跡をダイジェストで知っていただければ良いなと。

 

ちなみにどちらも樹崎さんの作品なのですが、ご自身でも仰っていたように、実は両作品共に描かれているものはおよそ同じようなテーマへと結びついていると感じていたのですが、描かれた時期はかなり違って、僕がただただ一個人の読者として、このテーマで描く上で作家、漫画家としての樹崎先生の表現力の進化を勝手に感じていました。

これは別にVivoがつまらないとかそういう話ではなくて、切り口の斬新さとか、具体的な設定や状況とか理解されにくい部分を説明台詞を使わず絵で見せているところとか漫画家としての技術的な部分(だと僕が勝手に思っているところ)の話なんです。

 

これらを並べてみたいという思いもありました。

 

もしかしたらこれは前知識として知って見れたほうが嬉しいお客様もいらっしゃったかもしれませんが、こんな狙いがあります。と言うのは野暮な気もして、結局クロスイベント以降心の中だけにあったものです。

 

結果的に、Vivoは動きが少なくて物足りなかったと書かかれたアンケートもいただいたりして、差別化はできていたのかなと安心したりしながら

朗読劇のスタイルを守りながらも、物足りないと感じない形に持って行く為、もっといろんなアイディアや仕掛けを考えられなかっただろうかと、反省したりもしました。

FLYはDomix Liveのひとつの完成形を見た。というご意見も思ったより多くあり、有り難いと思うばかりでした。

とはいえ動画との融合具合をもっと進化させられなかったのか、黙々と静かに考え続けるあまり打ち上げでお酒を飲み損ねたりもしました。

 

他にも、過激さについて注意を促していたけれど、全然過激じゃないと思う。という意見から、過激と聞いて覚悟してきたけど本当に心がしんどくなった。という意見まで

過激さについても様々なご感想をいただきました。

もちろんすべてが良いというか、褒めるような感想というわけではありませんでした。

いろんな捉え方があって、そのひとつひとつについて、改めて、逆に考える機会をいただきました。

 

そのアンケートに関わらず、様々な良い意見もアドバイスのような意見も、批判もいただき、Domix Liveにたくさん期待していただけている事、更なる可能性のヒントとなる意見をいただけたことに感謝しています。

 

もしもまた漫画元気発動計画さんからご依頼をいただき、Domix Liveを作る一員になる機会があれば、誠実にそれらの意見と向き合って、また何かを作っていこうと思いました。

 

お話できることはきっとまだまだたくさんありますが、書き始めたらキリがないのでこのへんで。

 

改めまして、

応援してくださった皆様

ご来場いただいた皆様

音響、照明のテクニカルチームの皆さん

作曲、演奏を担当してくださったおふたり。

企画、制作スタッフの皆さん

役者のみんな。

つまり、関わってくださったすべての皆様へ。

本当に、ありがとうございました。